労働者派遣事業とは
法的には、『労働者派遣』とは以下のように定義されています。
自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。 (労働者派遣法 第2条)
つまり、ある事業主(A)に雇われている社員(甲)が他の事業主(B)のもとで働くことであり、通常の雇用形態と違うのは、甲に対する仕事上の指揮命令の権限がBに移転している点です。 そして、甲に関する雇用契約関係、指揮命令関係とは別にAとBの間では派遣契約を締結します。つまり3者間での契約関係が存在することになります。 労働者派遣法では、労働者を雇用している事業主(A)を派遣元、指揮命令をする事業主(B)を派遣先と呼びます。
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通常雇用の場合
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派遣による雇用の場合
労働者派遣と類似した雇用形態で、在籍形出向、業務請負、業務委託等がありますが、これらは指揮命令の権限が直接の雇用主に残ったままなので、労働者派遣とは言えません。
在籍型出向の場合
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出向元に籍は置いてあるが、出向先とも雇用契約を締結します。但し、この雇用契約の内容は二重契約という意味ではなく、労働基準法上の様々な責任を(給与、福利厚生、休暇、安全衛生、退職等)出向元と出向先が分担して負うことになります。
業務請負の場合
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注文者が仕事の完成を依頼し、完成した仕事に対して代金を払う形態。 注文者は請負業者の労働者を直接指揮命令することはできません。例えば、大工の棟梁に家を建ててもらうよう依頼した家主さんが、その棟梁の下で働く個々の大工さんに何時から出勤するとか、仕事の手順を指図出来ないのと同じです。
業務委託の場合
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事務処理など業務の処理を委託する形態。注文者は請負業者の労働者を直接指揮命令することはできません。請負の形態とほぼ同じと言ってよいでしょう。
労働者派遣が禁止されている業務とは・・・
以下の業務については、労働者派遣が出来ませんので、ご注意下さい。
■ 派遣禁止業務
- 港湾運送業務
- 建設業務
- 警備業務
- 病院等における医療関係の業務
- 団体交渉や労使協定の締結等、労使協議の際に使用者側として行う業務
- 各種の法律専門職(弁護士,司法書士,税理士,行政書士,社会保険労務士等)
- 建築士事務所の管理建築士の業務